シアトルの自閉症兄弟Max & Masonの成長記録

十数年の記録を順に載せていきます。最古記事(1)【ママ、マックス自閉症なの・・」から読んで頂けたら嬉しいです

22005年 セラピー始まる 『Good Job Max! 』

2005年2月

娘夫婦のとった行動は素早かった。

 

自閉症であるという診断後、すぐに地区にあるファミリーセンターに行く。

 

そこは0歳から3歳までの発達障害児の支援センターである。

 

マックスがどのような状態か評価を受け、マックスにとって必要と判断される発達障害

 

の子供のための療育を申し込む。

 

その結果、スピーチセラピーを週に2回~3回とプレイグループに

 

週2回通うことになった。

 

プレイグループでは、身体を動かして遊びながら社会のルールを学ぶ。

 

自閉症幼児の日常行動パターン

 

 自閉症の子供は、”遊ぶ”ことがよくわからないようで気がつくと

①ゴロンとソファーや床で寝転がってじっと何もしないでいることが多い。

 

②マミーが一緒に遊ぼうとしても全く遊ぼうとしない。

 

③ボールを投げても返すことをしない。

 

たまにひとりで遊んでいるかと思うと、

 

④積み木をきちんと直線に並べて眺めている。

並べられるものは、なんでもきちんと並べてしまう。 

わざとぐちゃぐちゃに崩すとまた最初からきちんと並べ直す。

 

⑤1歳過ぎから5つのサイコロをいつも同じ目を上に直していた

 

家に5つのサイコロが並んでおりサイコロを動かすと音がでるおもちゃがあったが、

いつごろからか定かではないが、サイコロの表面はいつ見ても5つとも●(イチ)だった。

まだヨチヨチ歩きの頃からこれをいじっていたがマックスが必ず●(いち)を上におい

ていたらしい。

親は気が付かなかったがすでに自閉症の”こだわり”が2歳前に

 表れていたことになる。

 

娘はダディがいつも●(イチ)が上になるように並べているのかと思っていたらしい。(あり得ない・・ダディはそんなに几帳面?!)

 

無償で提供されるスピーチセラピーだけではとても足りないので、

 

◎ABAセラピー

ABAセラピー(Applied Behavior Analysis Therapy)

応要行動分析療法と呼ばれているセラピーを始める。

 

アメリカでは、ABAセラピーは、自閉症の療育法として広く知られており、自閉症の症

 

状を軽減し発達を促すと認められている唯一の療育法と言っていいだろう。

 

この療育は、小さいうちに始めれば始めるほど効果があると言われている。

 

伸ばしたい行動が出来た時は褒め子供の喜ぶ褒美(シールやお菓子など)を与えて伸ば

していくという療育法である。

 

セラピストのヘザーさんが家にやってきた。

 

おしりのタトゥーが、屈むとちらちら見えオヘソには、ピアスをしている。

 

ちょっと怖そうだが性格はやさしくとても良い人だ。

 

 ヘザーさんの6歳になる息子さんが自閉症なので

 

自閉症の扱いには、手慣れている。

 

自閉症について何も知らないマミーはヘザーさんにいろいろ教えてもらい

 

精神的にもずいぶん助けられた。

 

部屋に入るのを嫌がり泣き喚くマックスを平然となだめ

 

2時間根気よく厳しくやさしくマックスに接している。

 

「グッド ルッキング!」

まづ、はじめに、ヘザーさんの「目を見る」ことから訓練をはじめる。

 

自閉症児は、相手の目をみることに恐怖を感じるらしい。

 

普通の人がお化けを怖くて見られないと同じくらい怖いと感じるらしい。

 

マックスの好きな小さなおもちゃをヘザーさんの目の近くに持っていき

 

ヘザーさんの目をみたら

「グッド ルッキング!」と褒めマックスにご褒美をあげる。

 

時には好きなグミをヘザーさんの目の近くに持っていき、

 

目を見たら「グッド ルッキング!」と褒めマックスに渡す。

 

このように「アイコンタクト」を根気よく、繰り返し教える。

 

ポインティング

それともうひとつ「ポインティング」を訓練する。

 

自閉症児は、「これ」「あれ」と物を指さすことが出来ないのだ。

 

定型発達(ふつうの子供をこのように呼ぶ)の子供であれば、

 

「これ な~に?」とか「あれがほしい」とか、

 

ほしいものを自然と指でさすと思うが、

 

自閉症児は、そのポインティングをしない。

 

このポインティングも繰り返し教え訓練する。

 

それから ヘザーさんの動きの真似をさせる。

 

“クラップ ハンド手をたたいて” ”スタンドアップ“ “タップ ヘッド”などこれらを

 

◎「Do this」

「Do this」といって真似をさせる。

 

「Do this」「Good job Max!!」

 

セラピールームからは ヘザーさんの声だけが聞こえてくる。

 

ことばというものがわからないマックスに言葉の意味を手話を使って教えて行く。

 

両手のひらを合わせて開いて「オープン」。

 

袋に入っているお菓子を持たせて”オープン”と言わせる。

 

もっと欲しがるマックスに両手を軽くのせて「more」を教える。

 

手のひらを胸に当ててまるく動かし「プリーズ」を教える。

 

これらを繰り返し教えていく。

 

2-3ヶ月すると部屋からマックスの小さな声が、かすかに聞こえてくるようになる。

 

「オーピン」「ピリーズ」・・・「モア ピリーズ」・・

 

マミーも日常の生活のなかでも常に言わせるように訓練する。

 

自閉症児は言葉の意味がわからないのだ

言葉を絵や写真で教えて行く。

 

ことばの意味がわからないマックスに写真や絵をみせて物を認識させ

マッチングを使って区別させる。

 

とにかく忍耐と根気である。

毎日2時間セラピールームから聞こえてくるヘダさんの声  

 

「Do this!」「What’this」

 

定型発達の子供であれば、赤ちゃんの時から母親とのコミュニケーションを重ねるうち

 

に自然に必要な言葉を覚え会話が出来るようになると思うが、自閉症児は、そのコミュ

 

ニケーションの力がないので自然に憶えていくことが出来ず、いくら母親が一生懸命話

 

しかけても返事を返すことが出来ない。

 

それまでのマックスは、話こそできないが、元気だし良く笑うし

 

外見上は全く普通なのだ。

 

言葉が理解できていないとは全く思っていなかった。

 

しかしながら「自閉症」と診断され、考えてみるとすべて納得する。

 

◎2~3歳頃からの行動の特徴

①「マックス~マックス~」どんなに大きい声で呼んでも

振り向きもせずに自分の行きたい所にいってしまう。

 力づくで捕まえない限り立ち止まることがない。

 

特に近所のお庭の

②くるくる風で回る大きな風車の飾りものが大好きだ。

 外に出た途端にそのお庭に向かって飛んでいき見つめたまま動かない。

 マックスが2歳の時である。

 

自閉症児は、どういうわけか、くるくる回るギアのおもちゃや

 

④自転車のタイヤ、風車などに引き付けられてしまうらしい。

 

⑤特にキラキラ光りくるくる回っていたら堪らない。

 

いまだにマックスもメイソンも見つけた途端に手を振り切って飛んで行く。

 

葉やお花や空や雲が大好きで気に入ると30分もじっと眺めている。

 

⑦これらの行動から次の行動に移す時が大騒ぎだ。

 

ひっくり返って大泣きをして絶対に動こうとしない。

 

「なんでこんなにマックスは大変なんだろう・・・」

 

マミーは悩んでいた。

 

そして納得した。

 

 「そうか、マックスは、自閉症という病気だったんだ」